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6/7【個展拝観後に再び】 咆哮のカート

発泡スチロールなんですよ。

人の良い笑顔で最低限の言葉、最大限のおもてなし。展覧会受付の男性はSPのように大きな体を揺さぶりながら何とも気の抜ける解説を一言だけ放ちました。

過不足無い歓待ぶりを心地良く感じた私は、次の来客が受付を塞ぐまでお喋りしてひと息つくことにしました。

搬入搬出が緊張のピークであること、展示地域が限られる理由、ことさら人気のあるグッズ、何度見ても飽きないというお客様の声が多いこと、彼が遠方
まで走らせる自転車のご趣味。

物を見に来て人の温かさに触れる奇遇に頬が緩み、気持ち新たに入室することができました。

 

そのかたにお勧め頂いた通り、本展堪能後にもう一度アンガーマネジメント
片桐を拝観しようと、一階へ降りました。

もしも上二本の腕が無かったり片方だけの拳ならバランスを欠いてカートと
しての役割を為さなかったのと同時に、迫力に欠けたと思います。

 


この二本の腕には、真田幸村の鹿ツノに込められた俊敏さ・進取果敢さと同じ祈りが込められているように思えました。

 

 

 
通りがかった子どもが、

鬼だ!

と、父親の太ももにしがみ付き隠れました。
大人だって目があった者はたじろがずにはいられません。

 

梶井基次郎の、檸檬爆弾じゃないか…。

 

午前中にしてきた仕事も、三十年ぶりに乗る京葉線への緊張もどこへやら。

 

 

釣瓶落としの秋の空。こんがり紅鮭色は高く、肌寒さを増して。

帰路を急ぐ人の群れに紛れる。個展の主役たちは、閉鎖された向かいの浜で遊ぶアメリカのアニメキャラクターさながら、私の脳内をジャックしアミューズメントパークへと変えてしまった。

 

怒りの動力が放つ灼熱は落ち着きかけた心拍にまだまだ油を注ぎ、とうとう私は学生時代に乗降し慣れたはずの東京駅で間違え、反対方面行きの電車に乗り込んでしまい、暗闇に帰宅するまで別世界に迷い込んでいました。