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7/8 【破顔神楽の虫談義】片桐仁×小松貴「昆虫愛!」 『昆虫学者はやめられない―裏山の奇人、徘徊の記』(小松貴著)刊行記念トークイベントに寄せて

最も大事なキーワードに、「好蟻性昆虫」がありました。
小松貴さんの主な研究対象です。


4ミリのコオロギが蟻の巣に” 一方的に ”共生しています。何処でも、その辺りの道端でも発見できるとか。

「見たことねぇ!」

大波の笑い。
もうひとつ付け加えるなら、聞いたこともねぇ…コウギセイ?


「好蟻性生物」は蟻の巣に寄生する生き物です。
虫だけではなく蛇やきのこも含まれ、
蟻たちから餌を勝手に頂戴して命を繋ぐため、それぞれが様々な特長を持ち発達しました。(頁36、37)

その中から幾つかの好蟻性昆虫をご紹介くださりました。

見付けるコツはまちなかでも構わないのでなるべく明るい場所の半
分埋まった石をひっくり返すこと。
此処に来たお客さんの何割がこの後トライしたでしょう。
わたしなんぞは、
突如しゃがんで路傍の石をひっくり返す人など見たら体調不良で座り込んだかと気になってしまいます。

 



3種の見分け方は毛の長さの違い。肉眼で到底見分けなんかつかなくて

「同じだよぉ〜」

及び腰で揺れる語尾。
お客さんの横隔膜は既に笑い癖が付けられてしまったのか、
片桐仁さんのひと言ひと言に笑いが反射的に起きてしまうようになりました。



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このようにして小松貴さんが現実離れしたエピソードを語ると片桐
仁さんが無遠慮に突っ込み笑い笑わせておられたのですが、片桐仁さんの笑い声と会場の笑い声に初めタイムラグがあったと記憶しています。
そのタイムラグがイベントの進行に比例してどんどん短くなりました。

このイベントに赴いた動機が笑いでなく学びのお客さんが多かったのでしょう。
壇上を見上げる位置に客席が配置された事も影響したに違いありません。
ゆえに初めはなかなかの距離感が存在していました。

しかし片桐仁さんは時に上体をかがめ画像にへばり付き手放しに会
話に文字通り前のめりで、その自然体が観客の反応スピードを加速させます。
すると出演者と観客の間の段差が消え、許可された写真撮影の手まで止まり、場所を忘れた足元からはさながら小松貴さんが虫探しに踏みしめた世界中の木の葉と枝の音が聴こえてくるのです。

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心底楽しそうに、「ごめんなさいね、いっぱい喋り過ぎてしまって。
訊きたいこといっぱいだった」と仰ったのも揺るぎなき本心でしょう。

「僕の話はいいですから」とご遠慮なさりつつも片桐仁さんが披露されたスマホケースのニシキキンカメムシは、大勢の、おぉ〜っ!!の感嘆と共に記者会見ばりにシャッターを切られ誇らしげに首をもたげ腹を見せるのでした。

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イベントの切り上げ合図があってからも話し足りないお二人は、
この日の為に撮り下ろたばかりの玉虫色に輝く昆虫を、どうしても紹介したいと、投影します。

そのツヤキベリアオゴミムシは設立前の某テーマパークの地に多数棲息していた希少種でした。時間が押しているせいで慌ててテーマパーク名を口にしてしまってから名を伏せようと
小松貴さん” ツヤキベリ虐殺ランド ”と化した広大な湿地帯だったと言い直しますが、
片桐仁さん「もうおそいおそいおそいっ!!」
この日一番の笑いに揺れて閉幕となりました。