4/9 【212ひきのねこ ちからをあわせて】世田谷パブリックシアター シアタートラム お話の森2018年8月5日に寄せて
次の本がかくされていた、しもての落ち葉の近くで立て看板が見つかりました。楽隊さんの目の前の、いろがみのついた楽譜立てのようなものが、それでした。ひっくり返すと
「このほんをよむな」。
片桐さんは、いきおいよく
「よみまーす!!」
「『11ぴきのねこ ふくろのなか』」
しってるー!!!!!
元気のいい声がたくさんあがります。昼の部も夕の部も、この本は大人気。
みんなお話の続きを知っているからついしゃべりたくなるけど、
「しらないおともだちもいるから、なるべくしゃべらないであげようね」「大人は言わないでいてくれるんですけどね~」。
小さいお客さんにも大人にも平等に語りかけるのを忘れません。
ところがこのおねがいが夕の部に読んだ最後の本では、まさかの前ふりになってしまいます…。
リコーダーとギターがリズミカルに奏でるのはマーチ・テンポの軽快で明るい曲です。
ねこたちが歩く先々には、片桐さんが見つけた立て看板とそっくり同じものがいくつも出てきました。
お話が進むのに合わせて一枚、また一枚と立て看板にかかっている紙をめくります。
看板には、やってはいけないことが書いてあります。
私たちは12匹目のねこになって、ぞろぞろと先頭のねこについて行ってしまいます。禁止されているお花摘みもつい、
とるー!
渡ってはいけない橋もついつい、
わたるー!
ページをめくるのがどんどん楽しみになってしまいます。次はどんなやっちゃいけないことが出てくるんだろう?
そうしてとうとう“はいるな”の、あやしいふくろに入ってしまいます。
おかげでねこたちは化け物のすみかに連れて行かれ、ひどい目にあわされます。音楽もおどろおどろしく変わりました。悪者になった片桐さんの声は、低音を効かせて迫力たっぷり。ちょっとこわいけど、おもしろいぞ。
「“ウヒアハ、ウヒアハ……”」
客席から
うはは!へんなこえ!
シーーーーッ!!!
ねこたちは力を合わせて化け物をやっつけます。そこで片桐さんは会場のみんなに
「“えい、えい、おおうっ!”」
えい、えい、おーーー!
客席を3ブロックに分けて、かみてがわから
えい、えい、おーーーー!!!
全員で
えい、えい、おーーーーーー!!!!!
7回もやって小さく
「ふふっ。なんだこれ」
絵本から顔をあげず照れくさそうに小さくつぶやいて、メガネの位置をなおすのでした。