2/9 【お話の会、はじまり、はじまり】世田谷パブリックシアター シアタートラム お話の森2018年8月5日に寄せて
ステージ奥には左右それぞれ木の扉がひとつずつあります。
しもての扉が開き、茶色っぽい服を着た楽士さん3人、並んで椅子に腰かけ楽器を手に取りました。
ゆっくりとアコーディオンが息を吸いこむと鳥たちはしんと音楽に聴き入ります。
優しくどこかなつかしげなしらべに促されるように客席のおしゃべりも消え、大人も子どももシートにしずみ、お話の森の入り口に吸いこまれました。
はじまりの音楽がひとだんらくつくと、かみてのドアが「カチャッ」片桐仁さんが登場です。
「どうもー!」
その声は明るく大きくのびて、森に差しこんだ、こもれびのカーテンのよう。
「かたぎりじんです、よろしくおねがいします!」
Tシャツには、写真のフレームに自然の恵みが収まったようなプリントが描かれ、同じもようがそこかしこに散りばめられています。白黒の太い縦ストライプパンツは足首丈。濃い色のリボンを巻いたボーターの下には黒ぶちのメガネ。ネオンカラーの全色入りソックスをのぞかせた足元はこんがりきつね色、小人さんがはきそうな、つまさきが三角にとんがった柔らかな皮のスリッポン。
「おはなし、すきですか?」
だいすきー!
「よんでもらってますか?」
はぁい!
「きゃくせきは、あかるくしておきますよ。トイレ、いきたいときに、いってくださいね。ここでしちゃうより、ずっといいですからね。」
くすくす、くすくす。
うふふふ、ふふふふ。
「ぜんいんのかおが、みえますよ」
うふふふ、ふふふふ。
「きみのこえも、きこえていますからね。こえがしたら、ぼく、みますよ。」
はははははは。
「さて!」
「ぼく、てぶらなんですよ~」
あれ?そういえば、読み聞かせる本は…。
「ほんは、どこにあるでしょう?」