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3/3 檜舞台の結晶

その一方で、他方、別の想いを抱きました。
客席が湧く。あれ?何故皆?と、感じる違和感。シリアスな展開に移行したのでは無かったの?
皆が笑うのだから当たり前に笑えるところでもあったのかもしれない。そう納得させてから観たテレビ放映では笑う事も出来ました。

その展開は、かえってそれ以外の笑い過ぎた時間を引き立たせました。

終始落ち着かない雰囲気で進めると思われたお笑い要素の中で、演者並んで座った肩越し、ワケあり息子が捨て犬の目をした。そんな表情を片桐仁さんで観たことがありませんでした。
のちのレビューでカメラチェックさながら何秒もまばたきをせずに見つめ、その時「芝居をした、恥ずかしい」とご本人はこぼしていらしたけれど。

笑い転げた記憶の中に突き刺さる別の色をした感情が、わたしは何日経っても忘れられずにいます。

 

あんな汗をかけるプロ意識を。
観客に応えようと使い切るエネルギーを。
しかもその客の前でその時間の全てを振り返るというプレッシャーを。
わたしはどれかひとつとしても最後にいつ、自身に試させたでしょうか。

この日以降わたしは自分の仕事振りを自分で録画しています。

駄目さ加減に落ち込む時間は15分間も続かず、すべき事が見付かりました。

あ、片桐仁さんに助けていただいた。

差し伸べられた手の先に触れ、注がれる光に照らされて道が広く見えたようでした。




感動を反芻する間も無く片桐仁さんの最新情報に触れる日は数日空けずやって来ます。

映画に感動して泣いた翌日には少々お下品に笑わせ、その翌日には唐突な呟きでSNSを盛り上げて。
手を伸ばせば届きそうな親しみを纏いながら、ガツン袴姿で。別の日には四角四面に収まり切らぬ凛々しさで法律系の誌面に。

春風に乗って次々と舞い込む便りにわたしはいちいち、泣き過ぎて鼻をかんだりすぐ満杯になる録画予約に焦ってディスクを買い足しに走ったり、楽しくてぴょんぴょん跳んで二階の床を抜きそうになって暮らしています。