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9/9 【雑感】世田谷パブリックシアター シアタートラム お話の森2018年8月5日に寄せて

片桐仁さんの読み聞かせは、3つの『わ』で出来ていました。わくわく、わかりやすい、わけへだてがない。

 


・5冊目の『森のかくれんぼう』をモチーフにイベント全体が作られており、みんなで森へ宝さがしの冒険の旅に出かけよう!というわくわくがてんこもりでした。

 


・子どもの立場にも大人の立場にも立って読んでくださいます。絵本のファンタジーの世界観はそのままに、読み聞かせをしている側の大人が思う素朴な疑問や矛盾を突いて大人も手放しに楽しめる内容でした。

 


・「僕の大好きな本」とご紹介なさった絵本の5冊ともが男児女児問わず大人気の傑作です。

 


・客席参加型。クイズに音楽に男の子も女の子も大人も声を上げて盛り上がりました。

 


・初めてお子さまをシアターに連れてきた保護者さんの緊張がほぐれる演出、ご配慮が感じられました。~しないでくださる思いやり、~してくださる思いやりの両方があったように思います。

 


・「客席は明るくしておきますから行きたくなったらトイレ行ってくださいね」「お話の続きを言わないでね」以外には、○○してください、のお願い言葉は無く、客席から自然に反応を引き出しておられました。

それでも片桐さんがお願いすることは全て伝わり、観客は求められたレスポンスができました。

 


・読み聞かせ中、お顔は上げずほぼ常に本に向き、表情はほとんど変わりません。客席に語りかける時は変わります。

観客の視線は片桐さん越しに絵本の映し出されるスクリーンに向けられていますし、片桐さんが本気で表情を変えると絵本の何倍もの迫力が出て、本そっちのけになってしまいますからね。

 


・流れを損なわないかぎり客席から飛ぶ小さなお客さんの声のほとんどをキャッチして玉を投げ返します。

 

 

 

・探しても次に読む本が見つからないふりをする時、しゃがんで落ち葉をかき分ける動作が全力で、ぎりぎりすれすれをかすめて、けんめいに探している風でした。子どもも真剣なら片桐さんも真剣!本気でないと、子どもはお芝居だと見破ってしまいますからね。

 


・夕の部の終わりにアンコールがあり、エンドトークがありました。昼の部に大学のご学友、ご実姉が親子連れで観覧なさり、幕間に歓談したご様子などをお話しされました。

 


・夕の部ウェルカムトークでは空席があるのに立ち見席がずらりと埋まっていことを「暑さで熱中症になっちゃったかな?知らないですよね、来ていない人のこと訊かれてもね」どっと笑いが起きていました。

 


・両部とも、おしまいには

 


もーぅお?

 


名残惜しそうな声がそこかしこから聞こえてきました。

 


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・“あんたが、この もりに はいってきたときから、おいら、すぐそばに、こっそり かくれていたんだぜ。”

 


かみてにのっぽでまっすぐに。

ウサギの耳を覗かせて。

動き回る片桐さんをはじめからじっと黙って見守って、読み終えた本を木枝の手に次々と持たされて。

最後の最後にタカを出すなんて特に、マジックみたいで。

 


すっと一本高く、今日の相棒を務めたその木は、いつか片桐さんといっしょに舞台に立っていた誰かに似て見えました。