10/14【運慶・快慶の絆】
作風に異なる個性を発揮し、異なる層の支持者を得た二人。国宝・南大門 金剛力士立像は運慶と快慶の共作です。たったの69日間で仕上げることが出来た理由は寄木造もさることながら運慶の絶大なプロデュース能力の賜物。
運慶は全体をプロデュースしながら、信頼を寄せていた快慶に阿形を任せ、
吽形の指導に当たったと言われます。分業の仕方は諸説ありますが、阿形には快慶の、吽形には運慶の作風が表れているにもかかわらず、表現は統一がとれています。
運慶と快慶のエピソードを引き締める片桐仁さんのお言葉は
“同じ時代に快慶がいたから運慶が運慶でいられたんですね”。
開始から小1時間の、中だるみしそうなタイミングで。以前は運慶作と言われ、その後快慶作だ、更に運慶だと二転三転し、いまだ作者が確定しないエピソードを西木政統さんが。
片桐仁さん、いちいち「快慶?え?運慶?」。
うろたえぶりがジェットコースター。この時の片桐仁さんの快慶の「か」は音程にして七度、オクターブ手前への駆け上がりよう。
運慶快慶というリズムがどうしたって面白い。
そこに音域の広い片桐音階が付くと誰だって吹き出してしまいます。
もうこの頃わたしは自宅のようなくつろぎを感じていました。