お話の森2019年8月4日 4/7 『サトシくんとめんたくん』
片桐さんが掲げた表紙は絵本らしからぬインパクトを与えます。サイケデリックな色遣いに大人もギョッとする一冊はデハラユキノリさん作。
「サトシくんってコレですからね〜」
指差したサトシくんの姿はくたびれた中年サラリーマン。ネクタイよれよれ、髪も寂しく、うだつが上がらない。
思春期の娘さんに鬱陶しがられ、お嫁さんにはおかずを減らされ、唯一の楽しみは「嫌なことが全部消えていく」仕事終わりのビールです。
あぁ〜あ、ダメだこりゃ
と小さく、隣に座るお母さまがつぶやき苦笑い。
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早くも3ページ目で飲み過ぎて帰路酩酊しているところ、ネコかと見紛う「めんたくん」との遭遇をきっかけに、サトシくんの日常はときめきと輝きを取り戻します。
お酒も忘れ、みるみるアクティブかつ健康的になります。
めんたくんはペット以上の存在です。プラモデル作りまで一緒に楽しんでしまいます。
めんたくんにとってもサトシくんとの日々は楽しく片時も離れない二人でしたが、蜜月は長く続きません。
ある日突然巨大な生物が「ゴゴゴゴゴゴゴ」とやってきました!トシコとメグミ(奥さまとお嬢さん)が怪物に捕まっているのをテレビで確認!
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あぶなーい!こうなったら家族奪回のため抗戦するぞ!!
「やまぼう」と「つきよのかいじゅう」のテントから布を取り去った骨組みだけの丸いドームがプラスチックの戦車に変身!
てっぺんに座ってドラムズ戦車を動かす片桐さんはサトシくんを演じます。
戦車はライトをピカッと光らせ巨大生物へ
「スクランブル!機動戦士ドルズム発進!!」
この勝負、勢いは良かったのですが一瞬にして敗退します。
「あぁ〜っ!!」
戦車から崩れ落ちるサトシくん。いえ、片桐くん、
「やはりプラスチックでは弱かったかぁ〜!」
巨大生物の正体は、めんたくんを心配して取り戻しにやってきた、めんたくんのお母さんでした。
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大事なめんたくんを、街を踏み潰すほどの巨体のお母さんは、どういう経緯で夜の繁華街に迷わせてしまったのでしょうか?展開が早く飛躍し放題のナンセンス、思考停止に陥り笑うしかないのがこの作品のパワーです。
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めんたくんはお母さんと海に帰ります。
と、片桐さんは
「海ぃ〜?!」
(爆笑)
サトシくんには平凡な日常が戻ってきます。
おかずに並んだ明太子。
ん?何かに似ています。
そう、似ているのは、めんたくん…
おしまいのページは、明太子のとんでもない本当の姿です。
ええええええーーーーーっっっ!!!
どよめいてシアターが揺れたその衝撃のラストは、是非絵本をご確認ください…。
本の表紙背表紙の裏にはデバラさんオール手書きのマンガもありますよ。