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4/8 【破顔神楽の虫談義】片桐仁×小松貴「昆虫愛!」 『昆虫学者はやめられない―裏山の奇人、徘徊の記』(小松貴著)刊行記念トークイベントに寄せて

冬眠中の蛹を探す旅から話はナナフシへ。

擬態する昆虫は保護色の中に身を隠すものと思いきや そうでもないことを小松貴さんの新刊から抜き出して。


撮影は昼間。昼は敵の目を欺くため前足を伸ばし木枝のふりをして静止。
ナナフシ探しは、私に見破れぬ擬態はない(頁109)と記述する、
その道のプロである小松貴さんにも難しいようです。
夜は擬態をやめ「めちゃめちゃ早」く移動して簡単に見つかってしまいます。
ずっと擬態したままではないのですね。
擬態は上手いのに場に溶け込み損ね、
青々とした新緑の中にぽつんと枯葉そっくりの不調和で存在してしまう事も。

本人は擬態のつもりなのか。はたまた人間が彼らを擬態のプロだと思い込みたいだけなのか。

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擬態のイメージは写真家が作り出したもの?!
というくだりは本著で最も印象に残りました。虫を知り尽くした小松貴さんだからこその説得力です。

よくメディアがクローズアップするハナカマキリは蘭の花に潜んで虫を捕食しますが、実際は花のない所に居るそうです。
そもそも花そっくりなので見かけるのは決まって葉っぱの中だと。
全部ヤラセ(頁112)とまで語る
ほどに小松貴さんは人より虫を信用しており、必ずしも蘭とハナカマキリがセットと思い込むべきではないと伝えます。

そこへ片桐仁さんは幼虫の頃のほうが花に似ていて虫を捕まえる率が高いと話を広げます。
食い付く客席。
小松貴さんは同志を見つめ、えへへと微笑み満足気です。
しかも花の香りを分泌させ蜂を捕まえるのだと小松貴さんが付け加
え、カマキリに聞いてみないと何故こんな生態が生じたのか誰にもわからないと結びました。

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引き続き片桐仁さんのナナフシ愛。
小松貴さんによれば今や昆虫館に居るほうが野生より多いというツ
ダナナフシ。
トゲを持つタコノキ科熱帯植物アダンに潜むため、宮古島では革手袋を装着して探したそうです。
捕まえると殆どメスで、危険を感じ子孫に命を託そうとするのか、捕まったと同時に糞と共に糞そっくりの卵を産むとの事。
それを育てて数ヶ月、カマキリ同様とてつもない多数孵る。
茶色い手すりを歩く緑の身体だったので簡単に見つけてしまったの
だと、実際には旅を共にしていない小松貴さんと同じ体験をなさった事を語ります。
擬態は上手いのにちょっと「ヌケ」ていて、捕まりしな慌てて足を伸ばし擬態しようとする、そんなところが愛らしいと、お二人とも孫を愛でる目線です。